ゆゆめも

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【読書】冷静になりたい人は読むべき『世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ』

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『世界は感情で動く : 行動経済学からみる脳のトラップ』マッテオ モッテルリーニ 著/紀伊國屋書店/2009.1

 

 左上の奥歯にかなり大きめの虫歯ができてしまいました。歯医者で「ちょっと深めに削って埋めるしかない」と言われたのですが、埋める素材で案内されたのが、順番に10万円近くのオールセラミック(保険適用外)、1~2万円の銀歯、そして質とお値段のいいとこどりのハイブリッドタイプ4万円(こちらも保険適用外)。質的には、セラミックが陶器のお茶碗で、金属はプラスチックのタッパーようなものだとのこと。「どっちが汚れが落ちやすいか、わかりますよね?」とマスク越しでもわかるスマイル付き。

 素材変わっちゃってますやん、と内心突っ込みつつ、しかし、『世界は感情で動く』を読んだ私は気づいてしまったのです、これはアンカリング効果を利用したマーケティング手法だと……!

 こちらの本では、人間が無意識に陥りがちな偏見(ヒューリスティクスのバイアス)が、多数の身近な事例とともに解説されていて、さらにそれに対抗するための手段まで紹介されています。

 身に覚えのありすぎる思考の偏りばかりの中、アンカリング効果はそのなかでもかなり身近な事例。アンカリング効果とは、最初に印象に残った数字や言葉が、後のはんだんに影響を及ぼすこと。例えば10,000円の値札が赤字で訂正されて7,000円になっていたら、「めっちゃお得!」と思ってポチっちゃったり……Ama〇onのセールとかでよくするやつ……。

 まあ、営業トークと分かっていながらも、歯科衛生士さんから「私もこの間これにしたんですよ~!」なんて言われると、ハイブリッドタイプを選ぶほかないのよ、わかってる、完敗です。予定外の4万円の出費に涙を飲んだ一日でした。