【読書】力士は豚肉を食べないって本当? 『英国一家、日本を食べる』
この本は、ジャーナリストであり料理人でもある著者が、家族とともに約3か月ものあいだ日本を旅し、各地の食材や料理に舌鼓を打つ紀行記だ。著者に言わせれば、SMAPのメンバーのうち3人はぱっとせず、広島で味わった日本酒は「石油っぽい」し、沖縄ではゴーヤの苦さに対して「いったいどういうつもりだ?」と怒りを露にする。
しかし、読み進めるうちにその正直な人柄が分かってくるからこそ、筆者が美味しいと感じたときの感動が鮮やかに伝わってくる。
また、食材の栽培や収穫、料理の背景や伝統まで詳細な取材に基づいて記述されており、日本に住んでいる人々にとっても新鮮な驚きがあることは間違いない。食べ歩き以外の旅行中のトラブルや家族や友人とのエピソードも、まるで料理の隠し味とばかりに良い味を出している。
いわゆる「ニッポンすごい」系のテレビ番組にうんざりしている人にもおすすめできる1冊です。